診療所は、新宮港から北西約7.5キロメートル、町営渡船(5~6往復/日)で約17分のところにあります(地図参照)。
この島は、万葉集や続古今集にも歌われた歴史ある島で、貴重な遺跡や神社をはじめ鼻栗瀬(めがね岩)や絶壁など見どころもたくさんあるそうです。また、玄海灘のおいしい魚が味わえます。今回は取材ということで残念ながら観光はなしでしたが、ランチはおいしいお刺身定食を頂くことができました。この島は、世帯数約160世帯、人口約370名、ほとんどが漁業(他カマボコ工場、M真珠)に従事しており、高齢化率は55%超です。診療所は月曜から土曜まで開いており、1日平均15~20名の患者さんが来られており、医師1名、看護師1名、事務員1名の合計3名で運営されています。 さて、ここで診療を行われている吉永亮先生は2004年自治医大を卒業され、2年間の研修、1年間の病院内科勤務を経て2007年4月から相島診療所へ赴任さています。
Q1:M-Testを知ったきっかけは?
2008年5月頃、研修先の飯塚病院で木村先生がされているのを見て興味を持ち、教えて頂きました。そして、福大病院東洋医学診療部で臨床を見学しました。
Q2:M-Testを診療で用いるようになって何か変化がありますか?
相島には私の研修日に代診の先生が来てくれており、月2回は整形外科の先生が診療を行っています。島民もその整形外科の先生が膝関節注射やトリガーポイント注射をしてくれるものだと考えており自分にはほとんどそういう依頼はなく、整形外科的疾患の人はその先生の診療日に集中しています。自分の専門は内科ですが、ある程度は整形外科的疾患の診察・予防運動などの勉強はしていましたが、行える治療といえば鎮痛剤・冷湿布処方、SSP、そして一般的な体操指導(例えば大腿四頭筋訓練・五十肩体操など)でした。
M-testを導入した後、「痛み」の患者さんに対して内科医の自分でも上記以外の治療・ストレッチ指導が可能になり疼痛の緩和を行えるようになり診療の幅が広がったと感じます。またM-testを行うことで筋の短縮(特に大腿四頭筋・腸腰筋の短縮・大腿後面の筋群の短縮)の所見を確実にとるようになりました。患者さんには医師が診察で体に触れてくれる、鍼(深さ0.6mmのテープ付きの鍼・円皮鍼)をうってくれる行為自体で喜んでもらえます。中には剥がすよう指導しても数週間も円皮鍼を大切に貼っている方もいます。
Q3:M-Testをどのような患者さんに用いますか?
M-testを用いることが多い疾患は、肩こり、肩痛、腰痛、下肢痛、などの整形外科的疾患。特にツワ(フキ科の山菜)採り、ウニ割り、など負担が大きいことによるものには有効です。また、良性発作性頭位変換めまい症(回転性めまいをおこす方が意外と島に多い)などです。
Q4:離島に赴任して思うこと
相島は離島といっても船で20分で福岡市のベッドタウンである新宮町に行くことができますので、専門医受診を希望して島外の病院を受診する人も多くいます。ただし、船に乗るのが困難など高齢になって、歩行が困難な方などいよいよになって診療所にかかりだすことも多いです。検査設備などはどうしても本土の病院にはかなわないかわりに、患者背景を知っている、通院しやすい、待ち時間が少ないなどに加えて、東洋医学(漢方やM-test)も行えることが診療所の利点になればと考えてます。
相島に赴任して地域社会の中で医師のあり方、あるいは医療の原点といったものを考えさせられます(往診で洗面器もそうですが・・・)。※往診で診察の後に手洗い用のお湯の入った洗面器を出してくれます。昔からの患者さん側の気遣いですね。
少し暇だといってしまえばそれまでですが、仕事や娯楽に追われず、医療について考える静かな時間が持てるし、自分の興味のある分野の勉強(今だと、漢方・M-test・英語)に十分取り組め、父親として子育て(まだ1ヶ月ばかりですが)にも参加できる環境だと思います。
島を先生と歩いていると島民の方に声をかけられます。また、先生と看護師さんと一緒に往診に行くと、間もなく近所の方が訪ねてきて「何かあったのか?」って。3人も白衣を着た人が家へ入って行ったものだから急に具合が悪くなったのではと驚かれたようで、心配になって訪ねてこられたということもありました。地域社会の関係性が薄れた都会ではあまりみられないことですね。先生と島の方々の会話を聞いていると、ほんとに地域に根ざした医療をされているのだと感じました。
今回、先生のご配慮で3人の患者さんのM-Testを用いた治療を見せていただくことができました。そして往診にも同行させていただき、興味深い体験をすることができました。突然の取材のお願いを快く受けて頂いた吉永先生、そしてスタッフの皆さん本当にありがとうございました。
この島は、万葉集や続古今集にも歌われた歴史ある島で、貴重な遺跡や神社をはじめ鼻栗瀬(めがね岩)や絶壁など見どころもたくさんあるそうです。また、玄海灘のおいしい魚が味わえます。今回は取材ということで残念ながら観光はなしでしたが、ランチはおいしいお刺身定食を頂くことができました。この島は、世帯数約160世帯、人口約370名、ほとんどが漁業(他カマボコ工場、M真珠)に従事しており、高齢化率は55%超です。診療所は月曜から土曜まで開いており、1日平均15~20名の患者さんが来られており、医師1名、看護師1名、事務員1名の合計3名で運営されています。 さて、ここで診療を行われている吉永亮先生は2004年自治医大を卒業され、2年間の研修、1年間の病院内科勤務を経て2007年4月から相島診療所へ赴任さています。
Q1:M-Testを知ったきっかけは?
2008年5月頃、研修先の飯塚病院で木村先生がされているのを見て興味を持ち、教えて頂きました。そして、福大病院東洋医学診療部で臨床を見学しました。
Q2:M-Testを診療で用いるようになって何か変化がありますか?
相島には私の研修日に代診の先生が来てくれており、月2回は整形外科の先生が診療を行っています。島民もその整形外科の先生が膝関節注射やトリガーポイント注射をしてくれるものだと考えており自分にはほとんどそういう依頼はなく、整形外科的疾患の人はその先生の診療日に集中しています。自分の専門は内科ですが、ある程度は整形外科的疾患の診察・予防運動などの勉強はしていましたが、行える治療といえば鎮痛剤・冷湿布処方、SSP、そして一般的な体操指導(例えば大腿四頭筋訓練・五十肩体操など)でした。
M-testを導入した後、「痛み」の患者さんに対して内科医の自分でも上記以外の治療・ストレッチ指導が可能になり疼痛の緩和を行えるようになり診療の幅が広がったと感じます。またM-testを行うことで筋の短縮(特に大腿四頭筋・腸腰筋の短縮・大腿後面の筋群の短縮)の所見を確実にとるようになりました。患者さんには医師が診察で体に触れてくれる、鍼(深さ0.6mmのテープ付きの鍼・円皮鍼)をうってくれる行為自体で喜んでもらえます。中には剥がすよう指導しても数週間も円皮鍼を大切に貼っている方もいます。
Q3:M-Testをどのような患者さんに用いますか?
M-testを用いることが多い疾患は、肩こり、肩痛、腰痛、下肢痛、などの整形外科的疾患。特にツワ(フキ科の山菜)採り、ウニ割り、など負担が大きいことによるものには有効です。また、良性発作性頭位変換めまい症(回転性めまいをおこす方が意外と島に多い)などです。
Q4:離島に赴任して思うこと
相島は離島といっても船で20分で福岡市のベッドタウンである新宮町に行くことができますので、専門医受診を希望して島外の病院を受診する人も多くいます。ただし、船に乗るのが困難など高齢になって、歩行が困難な方などいよいよになって診療所にかかりだすことも多いです。検査設備などはどうしても本土の病院にはかなわないかわりに、患者背景を知っている、通院しやすい、待ち時間が少ないなどに加えて、東洋医学(漢方やM-test)も行えることが診療所の利点になればと考えてます。
相島に赴任して地域社会の中で医師のあり方、あるいは医療の原点といったものを考えさせられます(往診で洗面器もそうですが・・・)。※往診で診察の後に手洗い用のお湯の入った洗面器を出してくれます。昔からの患者さん側の気遣いですね。
少し暇だといってしまえばそれまでですが、仕事や娯楽に追われず、医療について考える静かな時間が持てるし、自分の興味のある分野の勉強(今だと、漢方・M-test・英語)に十分取り組め、父親として子育て(まだ1ヶ月ばかりですが)にも参加できる環境だと思います。
島を先生と歩いていると島民の方に声をかけられます。また、先生と看護師さんと一緒に往診に行くと、間もなく近所の方が訪ねてきて「何かあったのか?」って。3人も白衣を着た人が家へ入って行ったものだから急に具合が悪くなったのではと驚かれたようで、心配になって訪ねてこられたということもありました。地域社会の関係性が薄れた都会ではあまりみられないことですね。先生と島の方々の会話を聞いていると、ほんとに地域に根ざした医療をされているのだと感じました。
今回、先生のご配慮で3人の患者さんのM-Testを用いた治療を見せていただくことができました。そして往診にも同行させていただき、興味深い体験をすることができました。突然の取材のお願いを快く受けて頂いた吉永先生、そしてスタッフの皆さん本当にありがとうございました。
※デジカメを忘れてしまい、フラッシュなしのインスタントカメラでしたので写りが悪くてすみません。
相島診療所
福岡県糟屋郡新宮町大字相島1401
電話:092-962-4361
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